しらゆき、それがおれたちの国の女王の名だ
王が早くに死に、まだ十代そこそこだが王の座についている
誰よりも優しく、美しく、そして脆い
銀色の髪に薄青の目、白を基調としたドレス。そんな容姿と相まって儚い姿、しかし同時に女王らしく強い姿。
それに強く惹かれたことを今でもよく憶えている
全王もまた情け深く優しい方で声が出ないため働き手のないおれを使用人として雇ってくれた
王も、女王も、これ以上ないくらいに、いい王だと思っている
王のことを愛していた
そして、女王のことも愛している。これは、敬愛ではなく、恋愛感情で。
だが、おれは仕えるうちにきづいてしまった
しらゆき女王、その食事に毒が盛られていることに
すぐに殺したさ、使用人全員をな。
こんな人を殺してしまった汚れた手では女王に触れることもできない、そんな権利はない
だが、博愛主義者だと思っていた女王は、本当は
おれのことを好いていてくれたらしい
零れた女王の言葉は、頭の中に甘く響いたのだ