目の見えない私が国を治めているなんて、ちょっとおかしなお話よね
どんなお仕事をするにも、誰かの力を借りないとやっていけないもの
資料だって読みあげて貰わないといけないし、印を押すのも誘導してもらわなくちゃできない
みんなみんな、すごく面倒だって思ってる
だからきっと、毎度お食事に毒が盛られているのよね
でも、最近仕える者が減ったの
すっごく減ったの
むしろ、ひとりを除いてみんないなくなっちゃった
きっと愛想をつかしちゃったの
今までありがとうという感謝の言葉くらい言わせてくれたって良いのに、私だって、ここから出て行くのを留めなどしないのに。
あのね
城に残っている彼は、私のことがきらいなの
私に声をかけてくれなければ、触れようともしない
ただ黙って、仕事をこなすの
でもね、彼の用意してくれるお食事は温かくて、優しい味がして、毒なんて入っていないの
本当に、好きなの。