「とりあえず、ここに座って。遼希くんも」
望愛の母親に言われ、俺たちは望愛の家族と向かい合うように座った。
何を言われるのだろうか。
心臓の音が速くなる。
しばらくの沈黙の後、望愛の母親が口を開いた。
「ここ数日、遼希くんに言われて考えてたの。望愛のことについて」
喉がゴクリとなる。
「あの時はカッとなってしまったけど、よくよく考えたら確かにそうだなって思ったの。望愛に対してよくない態度をとってたけど、望愛は悪いことなんてしてなかった。むしろ、悪いことをしていたのは私たちの方だって気付いたの。私たちで決めたことを望愛に押し付けて、望愛の気持ちなんて全く考えてなかった」