「…も、もう!望愛ったらドジなんだから!」



愛里咲ちゃんの声が聞こえてきた。


さっきのことなんか、なかったようにして皆笑っている。


ぎゅっと遼希の服を握った。



「あの、望愛のことを苦しめてるって本当ですか?」



遼希の鋭い声が聞こえ、笑い声が聞こえなくなった。



「な、何言ってるの遼希くん!そんなわけないじゃない!望愛は私たちの家族なのよ?」



「じゃあ、望愛の好きな食べ物くらい分かりますよね?家族だったら」



「…ええっと、…ちゅ、中華料理よ!餃子が好きって言ってたわ!」



「本当ですか?望愛、好きな食べ物って何だっけ?」