昨日と同じく夜は実家で過ごした。
今日は1日中整理におわれて疲れたな・・・・・・。
家の目の前の田んぼにいるカエルの声が延々と聞こえてくる。
懐かしいな、この鳴き声も。
親父は飯を食い終わると自分の部屋にこもった。
おふくろはテレビの前で洗濯物をたたんでいる。
自分はそのテレビで野球中継をぼーっと見る。
なにも変わらない。
少年時代に戻ったみたいだ。
「お父さんね、明日からまた仕事だから。お母さんもパートがあるからあんた1人よ」
「ほーい」
洗濯物から目を離すことなくそう言われた。
「有給は何日とってるの?」
「3日」
「じゃあ明日もおばあちゃんち整理してきてくれない?帰るのは夜でいいでしょ?」
「はいはい」
ぐーっと伸びをした。
ふとおふくろは顔を上げた。
「・・・・・・おばあちゃんね、かなり貯金してたみたい。20年以上年金暮らしなのに・・・・・・なにに使うつもりだったのか知らないけど」
その目は少し赤く腫れていた。
「あんたの大学の学費、少しも払えなかったことずいぶん後悔してたみたいだから・・・・・・」
「べつに、親父が全部出してくれたからいいだろ。おばあちゃんが出さなくて」
「・・・・・・」
それ以上おふくろはなにも言わず、再び洗濯物をたたみ始めた。