おばあちゃんはおやつに、よくおにぎりを握ってくれた。 シャケのそぼろがはいったおにぎり。海苔は無し。 だけどそんな素朴なおにぎりが大好きだった。 ・・・・・・それも、もう食べられないんだな。 もう20年近く食べてないが。 本棚から文庫本を取り出し整理していたら、カツンと何かが触れた。 「・・・・・・ん?」 本棚の奥になにかある。 取り出すと、それはずいぶん古びている、錆びた缶の箱だった。