遼介ちゃんへ
まだお腹の中にいるのに
ちょっと気が早かったかしら?
おばあちゃんですよ。
もう手紙を書きたくなりました。
どうか無事に産まれてきてください。
無事に産まれてきてくれれば、それだけで嬉しいの。
遠い昔の話だけれどね
おばあちゃんはね、産まれた時
ちょっとせっかちだったみたいで
とっても早く産まれてきてしまったの。
だから体重が軽くてひ弱で、お母さんには夜も眠れないくらい心配をかけてしまって。
小さい頃は病弱でね。
みんなとなかなか遊べない日もあったのよ。
その度にお母さんは謝るんだけどね、ある日言ってやったの。
私はね、お母さんに早く会いたかったから急いで出てきたんだよ。
病気でおうちにいることが多いのは
私がお母さんのこと大好きだから
お母さんと長くいられるようにって、神様が特別にこの体をつくってくれたんだよ。
だから私幸せだよ。
ってね。
だって、せっかく一緒にいられるのにお母さんはいつも悲しい顔をしているのよ?
だからおばあちゃんは、笑っててほしかったの。
そうしたらお母さん、ありがとう、って言って
おばあちゃんのこと抱きしめてくれたのよ。
だからね。
どうか無事に産まれてきてください。
たとえどんな困難が待ち受けていても
あなたがいつも笑顔でいてくれるだけで
みんな幸せだから。
あなたのお父さん、お母さん、おばあちゃんが
ずっとあなたを守ってあげるからね。
もし病気を抱えて産まれたとしても
それを感じさせないくらいあなたを幸せにします。
天国からおじいちゃんもずっと見守ってくれていますよ。
この手紙はあなたが
二十歳になってから渡すつもりです。
その時までおばあちゃんも生きているといいな。
けれど、天国からおじいちゃんと2人で見守るのも悪くないかな。
なんてね。
静香