少しどきどきしながら、蓋を開けた。



そこには昼間見たものと変わらず、遼ちゃんと書かれた封筒が一番上にあった。


他の封筒の宛名も見てみようと、箱を床に置き、震える手で一番底の封筒を取り出した。




心臓の鼓動が早くなったのを感じた。







孝太郎さんへ







亡くなったじいちゃんの名前だ。






思わず封筒の中を覗き込もうとした時。




読んでいいのだろうか。




と頭に浮かんだ。






おばあちゃんが残した手紙。



死ぬまで誰にも言わなかったこの存在。




秘密にしておくべきなのだろうか。




読んだ方がいいのだろうか。




じいちゃん宛てだけれど、じいちゃんは本当に読んだのだろうか。






色々な想いが巡った後


なぜかおふくろの言葉を思い出した。








『あんたの大学の学費、少しも払えなかったことずいぶん後悔してたみたいだから･･････』