私は、その方がつらいよ。
星哉が生きている内に別れたくない。
ううん、事実上そうなる日が来たとしても別れるなんてこと、したくないよ。
私のためにはならないんだよ。
星哉が、別れたいなら考えるけど、そうじゃない……でしょ?
ねえ……。
「俺から離れていいよ」
やっぱり。
そうくるんだ。
「嫌だ、そんなこと言わないで。今やっと、誤解も解けたのに」
ぎゅっと抱き締めてくる彼の手だって嫌だって言っているのに。
なんでわざわざそんな選択をするの?
「好きなら離れないで」
「だからこそだよ。誤解も解けたからだ」
やめてよ。
それを言おうとしたら口が塞がれた。
それは無理矢理押し付けたような苦しいキスで。
宛がうように、そんな風に押し付けられるキスに私は戸惑うことしか出来なくて。
なのに。
その感じからこれで最後、これで終わりというのが伝わってきて。
その嫌でも伝わってくる感触が、彼を蝕む病気の影をちらつかせる。