ガラガラガラとドアを閉めて武田君が遠ざかっていく。
「星哉、許して。こんな私を」
「向日葵も、こんな不甲斐ない俺を許してくれ」
……ずっと、この日を待ってた。
こうやって、通じる日が来ること。
そしてきっと、負い目だけで付き合っていたわけじゃないと証明される日を。
「星哉……好き」
その返事に回された腕は心地よくて。
「……片足、麻痺しだした。感覚が無いんだ」
「うん」
「向日葵、迷惑じゃない?」
その声は弱々しかった。
「当たり前じゃん」
彼は困ったように眉を下げて私を抱き締め続けた。
「俺から言ったのに自信がないよ。確かにあいつの言う通り、お前の未来のことを考えた方がいいのかもしれない」
「私は今を大切にする、未来なんてどうにでもなるじゃない」
「俺は本当に向日葵が好き。それに気付いていたけど、やるべきことは怖くて出来なかった」
「やるべきことって、何?」
声が震える。
言ってくることが想像出来て怖い。
まさか。
別れを言い出さないよね?