「私がいたくて彼の側にいるの! 私がただ星哉を好きなだけだから! 星哉は悪くないから、だから、そうやって星哉のこと、そんな風に」
涙が口の中に入ってくる。
しょっぱくて、余計に頭がこんがらがった。
「悪いな、向日葵」
その声に顔を上げると、星哉の真剣な顔。
ベッドの上から伸ばされた粉ではたいたような白い腕。
その手が、私の頭の上を優しく包んでいた。
「ちゃんと言ってなかった。言えなかった。お前の気持ち、届いてる。もう……気にするな」
「星哉、ごめん、本当に私の不注意なの……」
……やっと、通じた。
「もう……忘れていいからっ! ごめんな、こんなとこまで引きずって」
「私、怖かった。怖くて怖くてどうしようもなくて。星哉は助けに来てくれると思ってたけどそれを先読みされたっ」
「もういい、ごめんな。ほんとに、ごめん」
「俺、帰る」