「じゃあねー」
部活の仲間が固まって帰る中。
私は一人で歩きだした。
星哉のところには、もう遅いからいけないな。
腕にした時計は既に遅い時間を指している。
「それでさー」
「うんうん」
本人たちからしたら、他愛のない話なんだろうけど。
一人で帰ってるとすごく楽しそうに聞こえるなあ……。
美結と栄夏の存在って大きい。
「萩本さん、お疲れ様」
頭の上に置かれた手に顔をあげれば、武田君がいた。
「武田君」
「今日は栄夏と美結、いないの?」
「栄夏は、休み。美結はガット張るって」
「なるほど、ね」
武田君は、栄夏の幼馴染みだ。
二人に関しては、どちらとも恋愛系の話も噂も聞いたことがない。
武田君は、いそうな気がするけど、聞くほどの事でもないし。
栄夏は、そういうのに興味が無さそう。