+*星哉side*+


長谷川との話が終わって振り返れば、長瀬がこちらを見ていた。




「長瀬」


絶対に、誤解された。



彼女の顔は、今までに見たことないほど怒りや悲しみやそんなもので溢れていた。




「ちょっと来て」





いきなり腕をとられて。





そのまま、ずんずんと引っ張っていかれた。





女子の力とは思えないほど強かった。








そこから、憤りを否応なしに感じさせられる。



「おい、長瀬。無視すんなよ」



無視は変わらず。




屋上まで来てやっと長瀬は手を放してくれた。




「病気の関係上、そんな早く動けねぇ。怒らせたのは悪かった。でも困る」



やっと我に返ったのか長瀬は頭を下げた。


「それは、悪かったよ。……でも、私が何で怒ってるのか分かってるよね?」




最近何回か見た、鋭い目が俺に向いた。


「ごめん、分からない」




さっきの、長谷川との話か?




「あんた、向日葵と美結のこと、どうするつもり?」




「どうするも何も……」




「あんた、向日葵フるつもりでしょ」


何で、分かるんだろう。




「だって、俺は先、ないもの」





乾いた音と共に、俺の頬に軽い痛みが走った。

 
 
「何で美結に病院教えちゃうの」




「聞かれて答えない訳にはいかないだろ」




「それで来たらどうするの」




「別にどうもしないだろ」





「二人きりになって何かをされたらどうするの?」




「そんなのあるわけないって」 




「体が麻痺したあなたに対抗できるかな?」  




答えに詰まった。




あり得ないと、笑って飛ばせない。





そっか、こいつには優翔から話がいってたか。




「美結はあんたに本気だよ。はっきり言って、向日葵も。優翔もだからね。」





何も言い返せなかった。

「優翔……も?」





「そんくらい、分かるでしょ」







「向日葵……ってこと?」






何か、嫌な予感がした。