美結と吉岡が話す事はなるべく、聞いておこう。
栄夏のさっきの言葉が私の中をかすめていく。
二人がいないと思ったら、危ないかもしれないと。
美結の真剣な表情が見える。
星哉の顔は見えなかった。
嫌な予感が、した。
その近くで眉をひそめている栄夏に近づく。
「栄夏……!」
近くに行くと栄夏は首を振った。
「向日葵は聞いちゃダメだ」
その表情で分かった。
美結の顔を見る。
私の隙がありすぎて、彼女はいつでも星哉の隣に行けるんだ。
その場を離れる時に一言だけ聞こえたのは。
「私は二番目でもいい」
雷で心臓を撃ち抜かれた気がした。
二番目でもいい。
きっと、星哉が言ったのだろう。
向日葵が一番だからと。
そうなら、一応嬉しいけれど。
その言葉にたいして放ったものじゃないか。
二番目でもいい。
足元がフラフラと安定しない。
「二番目はいらない」
この言葉が聞こえてたら私は安心出来た。
「私はあの子よりあんたの事を想ってる」
聞こえたのは星哉の声じゃなくて、美結の声だった。
バド部の仲間に声をかけられて部室に向かう。
教室を出る時に、星哉の笑顔が見えた気がした。