「皆、席に座れよー」



タイミングが良いのか悪いのか
空気も読まずに担任が入ってきた。




刷毛で散らすように皆々が席へと飛んでいく。
あまりいいとは言えない表情で
それぞれが色んな思いを馳せながら歩いてく。







武田くんの隣に腰かけて
斜め前の星哉をぼーっと眺める。






「これで、ホームルームを終わります」







先生が立ち去ってからは
また教室は五月蝿くなった。





「星哉、どーすんだよー」




泣きそうなくらい顔を
くしゃくしゃにしたり、
思案したりしているバレー部のメンバー。






私はそれを横に、美結と栄夏とで話していた。




「吉岡、どうするの?」






美結の質問に私は首をかしげた。







「どうするも何も、サポートするだけかな」






「それ以外、何も出来ないのも事実だしね」







栄夏のいう通りだ。
私には、それくらいしか出来ない。






周りが出来ることなんて
相当限られているんだ。







だから、君の痛みに寄り添うことだって
本当はなっていない人には出来っこない。