「でも、一年って結構速いよね」
美結には、バレバレなんだろう。
私が大丈夫じゃないこと。
それでいて、虚勢を張って
大丈夫な風にしていること。
でも全然大丈夫じゃないこと。
「速いよね、私もそう思う」
素直にそう思う。
余命の二年はすぐ巡ってくる。
「学校には、明日から来ない」
星哉の凛とした声が教室に響いた。
自分から大事なものを
自分の手で突き放そうとするその顔が
辛そうで、私の胸までも
ぎゅっと握られた気分になる。
「嘘でしょ?」
取り巻いてる女子の甲高い悲鳴。
「おい、何かのドッキリだよな?」
私と同じことを言って肩を揺するバレー部の仲間。
皆がみんな、信じられずに
星哉を取り囲んで、ウソでしたと
言うのを待っている。