学校に一緒に行ってる、いわゆるイツメン。
長谷川美結、長瀬栄夏。
「そんなんじゃなくて、色々ね」
朝から甘いカップルみたいに見えるなら、
いっそ本当にそうだったら良かった。
「あー、お泊まりですか」
冷やかすような口調の栄夏は
ふざけて笑ってから隣の美結を見上げた。
「羨ましいですね」
「五十代のお婆ちゃんの会話止めて!」
私の突っ込みにけらけらと二人は笑いながら
教室へ歩いていく。
二人は気を使ってか先を歩いていった。
「星哉、大丈夫?」
小声で聞いてみる。
明らかに速度が落ちてるんだもん。
「大丈夫だし!」
こんな時にまで、強気じゃなくていいのに。
「おはよう!」
美結と栄夏に続いて私も教室に入る。
「星哉?」
ドア前でうろうろしていたらそれの方が怪しい。
やっぱり決心がつかないみたいで
ドアの前でふらふらしている。