+*向日葵side*+




「星哉、行くよ」



長いこと抱き締めてくれるのは
願ってもないことだけど、少し恥ずかしい。    



いや、かなり恥ずかしい。






だって、道端だよ?




よく気にしないでいられるな。
嬉しかったから、いいけど。





「え、まだ……」






意外と私より星哉の方が甘えたがりだったりする。
言わないだけで、私より欲が強い。








結構学校で人気が高くて、
それでいて素だと甘えん坊。






ところどころに俺様気質が流れてくる。






絶対に、つくってるよなあ。
俺様気質は後付けっぽさにあふれている。






素直になりゃあいいのに、
きっとプライドの高さがそれを邪魔するんだろう。
その容姿ならしょうがないけどね。







「しょうがない、はーい」





赤色がかった茶髪に、整った顔立ち。






育ちの良さを感じさせる笑顔。





血色のいい唇。






眺めれば眺めるほど、
神様に選ばれた人っているんだな、と思う。






すぐそこに見える学校に近づく度に遅くなる速度。





「星哉……無理してない?」







言ってから、無理してるね
と肯定で聞けば良かったと後悔する。

    




「うーん、大丈夫」






強がりめ。




こうやって、少し優越感を与えてくれてるのもわざとなのかも。






「大丈夫だって!」






弱った顔をあげる君がかわいくて  
しばらくは、この顔をさせていたい。     





「私が死にかけていた時に、星哉は何て言ったっけ?」







「もう大それたことは言いません……」







そうじゃなくて、
言った言葉を思い出してほしいんだけどね。






「覚えてないの?」






 
「うう……覚えてる」







半ば引っ張られるように校舎に星哉は入った。





「あ、美結」


  



「お、向日葵おはよう」


「彼氏と朝から仲良しですね?」






美結の横からは、栄夏が顔を出した。
いつも一緒に行ってるバトミントン部の二人だ。