言いたかった言葉はいつも、
大事なときほど形にならない。
三ヶ月、ずっと側にいるから。
星哉のこと支えるよ。
学校、行ける?
言おうと思って、私なりに短時間で
形成した言葉たち。
私が言うべき言葉。
彼女として、星哉に自分ができること。
……な、はずなのに。
全てが何処かへ行ってしまった。
一週間前までの星哉との違いが
現実なのかまたは悪夢なのか。
どちらにしろ、最悪だ。
「向日葵、目を見て」
喧嘩した後にいつも星哉のかけてくれる言葉。
それが悲痛な声で、突き飛ばしたことも
受け入れないことも咎めるように。
ーー響いた。
その声が現実に追い付かない私にのしかかってくる。
自分が突き飛ばしてしまったのに、
謝る言葉も助ける手も出なかった。
「ねぇ、向日葵」
松葉杖無しで、壁を支えにこちらに
ゆっくりと星哉は近づいてくる。
てを出さなきゃ。
声を出して謝らなきゃ。
やらなきゃいけないこと、分かってるのに。
その体の脆さに、反射的に目を背けてしまった。
見たら、泣いてしまいそうだった。
いや、泣き崩れそうだった。
変わってくれない現実に。
ドッキリでもなんでもないその現実に。