+*星哉side*+   

  



消灯、めちゃくちゃ速い。
高校生にはきつい。
九時半に消灯されたら、何も出来ないじゃん。




面会時間も短い。
俺みたいに短命って分かってる人には
特別制度ないかな。




もういられる時間が短いって
そういうことなのに。






暗くなった部屋の中で目に悪いなと思いながら
スマホを操作する。







俺は、基本メールは好き。
それで気持ちが伝えられるのなら、何でもいい。  
形がずっと残ってくれるって
結構ありがたいとおもう。





この先、俺が死んでも俺が発したものは
この中に残っていてくれる。




でも、きっと向日葵はメールが苦手だ。





きっとこの画面の向こうで、
睨めっこしたり騒いだりしてるんだろう。







想像出来てくすっと笑いが零れる。
眉間にしわを寄せて唸る彼女からは
小動物らしい感じが溢れる。









彼女はどうしようもなく、素直で
それが真面目に直結してしまう。
気持ちを伝えるのも苦手みたいだし、
昔のことだって抱え込んでしまう。







きっと、まだあの事も気にしてるんだろう。
もう、気にしなくていいのに。
あの事の詳細くらい、
いちいち聞かなくても分かる。






珍しい向日葵からの誘いに頬が緩む。
なんだかんだ、向日葵の前でころころ色んな態度を
とっていたとしても、結局は……
幸せなんだ。






少し甘えてみた。




迎えに来てくれるの?





きっと、これを見た彼女は
頬を真っ赤にしているに違いない。
スマホを落としてるかもしれない。






ねぇ、好きなんだ。






あんなこと、忘れてくれていいんだよ?








だから、本当の意味で俺の隣に、来て……。







こうやって、言えそうな気がしてたのに。
どうしてこう、物事は簡単に進まないんだろう。