こんなに平凡に生きている私や、そこらで遊び呆けている人に未来があって、何故彼にないのだろう。
どうしてだろう。
彼は何故認めてもらえなかったのだろう?
ゆらゆらと揺れるバスは私の心も
一緒に揺らしていく。
バスの車内放送が馴染みのある駅を告げた。
ボタンを押して一気に暗くなった空を見つめる。
煌々と、一番星だけが輝いていた。
他の星を相手にしない、孤高な光。
一番輝く星。
彼は、私にとっても多分バレー部の人にとっても
そして神様にとっても
一番星だ。
あの光を、受けていたからこそ
今の私がいる。
変わることは怖い。
彼に照らされない余生は考えたくない。
けれど、今から彼のために変わることは
そう難しくない気がした。
後ろのドアから降りて、
そこで待っていた人に目を見開いた。
「遅かったけど、大丈夫?」
……そこには、武田君が立っていた。