私は、まだどこかで星哉に起きた事を信じていない。





現実が甘いなんてそんな素敵な話はない。





付き合っていれば甘い訳じゃない。  





付き合ってればそれで全て解決な訳じゃない。




けれど、まだどこかで嘘だと思って
受け止めていない自分がいた。
こんなことが星哉に起きるなんて
誰が思っただろう。






星哉じゃなければいいのに、って思ってしまう。
ピンポイントで星哉である必要はなかったはずだ。





でもきっと、誰よりも今、
嘘であることを願っているのは星哉自身だ。





大好きなバレーも出来なくなる。




そこでの仲間を失う。 
 



病院にいなきゃいけなくなる。






ただ一人、未来を約束されなかった星哉。





一人だけ、これからを生きる未来への
パスポートを受け取れなかった星哉。






周りが夢や希望を語るその先に自分はいない。
未来という抽象的に描かれる絵に
彼はいないことになるのだ。






当人でない向日葵でさえ、想像だけでゾッとする。
それに、自分が描く未来に常にいた星哉が
ごっそり消えてしまうことは
恐ろしくてしょうがなかった。




もし自分がなったら自分の不幸を嘆いて
こう誰にでもなく聞いたに違いない。





私はなにか悪いことをしたのですか?と。


 




そんな場所にいる星哉に私は手を伸ばしたい。






私だけでも寄り添っていてあげたい。 







悪いことをしてないって教えてあげたい。







星哉のせいじゃないよ、と。







星哉は悪くないよ、と。









彼が望む相手が私だとまだ言いきれないし
そんな臆病なところ、直したいけど
それでも、この私で良ければ
彼にてを伸ばす。







そして、願わくはあの頃に戻りたくて。
戻って、最後まで支えてあげたくて。