「波多野……」
ごめん、聞けないよそのお願い。
こんなに、こんなバカな奴の事なのに、
こんなに、嬉しい。
優翔が死んでから気づいた気持ちの行き場は
なかったはずなのに。
こんなところに、通じるところがあった。
「だよな、行けよ」
「ごめん……」
私って相当嫌な奴だ。
死んじゃった相手に言えなかった言葉に胸を痛ませて
他の人の気持ちにも答えられない。
でも。
「ほら、さぁ行った行った!」
波多野に背中を押されて幼稚園の方向に体を向ける。
「もう、ちょっとっ!」
突然のことでふらつきながらも、
きっと、私は波多野がいなければ
行く勇気がなかったはずだから感謝する。
「でも、ありがと」
「おお、さっさと行けよ」
いつか、いつか私が過去から未来を見れるようになるなら
その時は、波多野にちゃんとお礼をいって、
横にたてるようになったらいいな何て思う。
タイムカプセル。
覚えてたら、いつか取りに来いという、
なんとも言えないタイムカプセル。
今の今まで忘れてた。
そこに、何か、何かが絶対にある。