「アイツは、ちゃんと考えてたのに」
「ねぇ? ちょっと、どういうこと?」
溜め息をついて、波多野は正面からこっちを見つめた。
「変な交換条件だけど、知りたいなら知った後、俺の隣に来てくれると約束してほしい」
「は?」
とな、り……隣?
「優翔がそう望んでいた訳じゃないけどそれでも俺は、お前をアイツの代わりだとしても守りたい」
いきなりの、告白。
顔が赤くなってくのが嫌でも分かる。
いやいやいやいや、今こんな事してる状況じゃないのに。
「取り敢えず、知りたい」
「分かった」
波多野は鞄から、封筒を取り出して
投げて寄越した。
「これ……!」
「アイツからお前にだよ」
緊張する。
もうこの世にないと思っていた字がそこにあって
……ここに、彼のいた証拠がある。