+*栄夏side*+




「そいつが残してるもの、俺も探すよ? 手伝うよ」









「いや、いいよ。大丈夫」








頼ってもいいんだけど、きっと。








一人で探しても二人で探しても、









どこにもないから、誰かを巻き込みたくない。











「そんなこと、言わずにさ」








「波多野を巻き込みたくないから」










ドンッ。






近くにあった壁に自然と背中が触れた。








目の前には一回りも二回りも私よりでかい波多野が









壁に手をついてこっちを、見下ろしていた。









……これ、いわゆる壁ドンってやつ?








壁にドンッてやるやつ。








まさか、そんなわけないでしょ、









だって波多野は、学年でモテるし、人気だし










女子にも、愛想いいし。









遊び人……ではなさそうだけど。










そんな、そんな人が私に?








しかも、今そういう雰囲気じゃなかったよ?







「巻き込め」






その言葉の意味はよく分からなかったけど、








その目が本当に悲しそうで








深い何かをかかえていそうで、







私は何故か怯えてしまった。







……彼は、私の知らない何かを知ってる。