死への恐怖を綴っていたメールは嘘なんじゃないかと
思ってしまうくらい彼は淡々としていた。




半ば呆れて見てしまう程に楽観的だ。
もっと近ければまた違っただろう。
例えば、三ヶ月とか。




そういう私だってどこか楽観的だった。
一年、まだあると。




「お医者さんからの詳しい話、聞いてもらってもいい?」





「え? 私?」



普通親だと思っていて首をかしげる私に



「言ってないっけ? 俺、親外国だし、戻ってこないと思うから」




衝撃のカミングアウト。





何も知らなかった。
外国にいることも、どんな人かもそう言えば
しらなかった。




やっぱり、お互い何も
知らないようなものなのだろうか。





「嫁候補って事で」




くすりと笑って言う彼の顔は、
可笑しくてたまらないと言うように崩れている。






きっとまた、俺様気質が戻ってきたんだろう。
たまには、乗ってみるか。






「嫁候補ね、おっけー」





怖いな。




お医者さんからは、何を告げられるんだろう。





不安の種は消えれば増え、消えればまた増える。






星哉といれる時間に逆らって
神様はまたどんどんハードルを上げていく。





ねぇ、これ以上、
彼に罰を下さないで。
私が悪いんだから、
せめて、私に罰を下してよ。





私が彼といること自体が罰なら
私が、受けるから。
まだ、ちょっとだけ、ちょっとでいいから
待ってくださいー。