「ほぼほぼ言ってることは当たってるよ。でも……分かるだろ?」






「でも、でも……」





彼が行間に詰めた思いは予想できる。
その空間に込められた言葉も分かる。



何か有力な事は言えないかなんて
頭の中の引き出しを漁るけど
何も浮かんでこなかった。





でもそういうことなんだ。
自分にだけ幸せが来ることを望んでいれば、
その人に幸せは訪れないように。






私のこの我が儘な想いが有る限り、星哉は生きない。



 



「なんだかんだ言って、気付いてるんでしょ? 向日葵、俺の性格を」



星哉の口から言わせたくなかった。
けれど、私から言うのだって憚られた。





性格、たぶん彼のやり方を指すんだろう。





彼は、どんなことも淡々と成し遂げる。
きっと、それは死に大しても変わらない。




淡々と、星哉は死ぬ。





呆気なく、死ぬはずだ。




そして。



「俺は、余命を越えるとかそんな破天荒な事は出来ない」




星哉は、最高を越えることが出来ない。
気持ちに左右されずに結果を出せる。
ある一定までは最前線を走れる。





……けれど、火事場に馬鹿力は通用しない。







「よくて一年ちょいじゃない? ころっと死ぬよ」