「萩本、さん」
息を吸い込む自分の音が、
その場にゆっくりと溶けていくのが自分でも分かった。
半透明の体はもう透けていて、
武田君が、生きてるのか死んでるのか
よく分からない状態になっている。
「教えて、星哉が知ってるのは表面上のことだよね?」
「……そうだよ」
その後、彼はゆっくりと本当のことを話し出した。
「星哉には、弟がいた。今回、星哉がなった病気で幼い頃に亡くなった」
「うん」
いったい何を言われるのか、想像できなかった。
「俺は、その死んだ弟だ」
「え、それって……」
「もともと武田優翔なんていないんだ」