「うーんと、じゃあ、星哉の体?が死ぬときに、その中に武田君がいたら武田君が死ぬってこと?」
「今回はそうだったんだ」
武田君がたまたま犠牲になった……ということらしい。
「精神は、俺の体が死ぬと同時に元通りにリセットされるんだ。だから、優翔の精神に付属した死はついてまわって、あいつの体にも回って……」
……星哉が死ぬはずだったのに、
死は、武田君に襲いかかったんだ。
「でもその時ってどんな感じだったの?」
「俺、よく覚えてないんだ。優翔が、俺が行くって言った当たりから、なんにも」
「なんか、武田君に申し訳ないよ……関係ない病気背負わせて死なせて、それでみんなの記憶に残らないなんて」
「まあ、それでも俺は、そのおばさんから事情を聞いたとき、俺が生き残ろうって思ったよ。向日葵を譲りたくなかった」
「その気持ちは嬉しい、けど」
「まあ、俺も微妙な気持ちだけどさ」
「うん……」
「でも、知っててほしいんだけどその事を選んだのは優翔だ。俺が本当にそれでいいのかって聞いたんだけど、それでいい。俺が行く、元々そのつもりだってさ」
「武田、君……」
恋ってなぜか他の人を好きになろうとしてもなれなくて。
辛くてもがいて。
誰かと誰かが幸せになればどこかで泣く人がいる。
……そして、好きな人のためなら本当に
命まで差し出してしまう。
……私は、恵まれてる。
「取り合えず、学校にいこう」
「……うん」
どんな、もうひとつの時間が回り出すんだろう?
私と星哉の記憶が消えた世界では。