「そう言えば、聞きたいことがあるの」



「何でも」 




星哉の目の奥をなるべく見て
意識していないようにさりげなく
私はその言葉を発した。


「余命って、正確には何年なの?」



さっきは二年って言ってた気がする。
でも、それは何だか嘘っぽかった。
勿論証拠はない。
けれどーー長い気がしたのだ。





長いなら長いで幸せなことだし
そうである方が全然いいけれど。




「年齢的に考えて長くて二年で、まぁ実質的には一年だって」




「ああ、やっぱり」




思ったより随分間抜けな声が出た。
きっと、そんなことだと思った。
短すぎるくらいが、星哉なんだ。





「俺は自分では一年も生きないと思うけどな」


飄々といい放たれて
これには胸がどきっとした。






「そんなの結局は分からないじゃん? そういうのって、よく覆った説があるし、それに二年はないと思うけど一年を切るもないかなって」







どうだろう。
一年を切る可能性だってないわけじゃない。





もう粗方、スマホで検索はかけたのだ。
十代でなる確率は限りなくゼロに近かった。




たくさんの情報の波を掻き分けて
見つけ出したのはたった一行だけの言及。
でも、それで十分だった。




“十代でなることはまずないだろう。しかし、万一なった場合は相当な速度で悪化し死に至ると考えられる”




ないという前提で告げられた事実。
想像したくない、最悪な未来を
目の前に提示されて少しは覚悟していた。






この目の前にいる私の彼氏は、
きっと長くて一年だ。






そんなことが、私でさえも分かってしまうから。
結構長い間側にいたつもりだ。






だからこそ、君はきっと……