「そういえば、武田君は?」 確か、私が病室を出されたときに 武田君はまだ、あの中にいた。 「それが……」 ゆっくりと伏せられた彼の目が 嫌な予感の的中を物語る。 「あいつは、もういない」 ……ああ、なんか。 非現実的なことが、起こってる。 ショックしかないのに、 意外と頭の中は冷静だった。