いきなり、医者の一人が私の手を掴んだ。






「は?」







え、何をするの?








握っていた手は剥がされて、









私は部屋から引っ張り出された。









え? え?








理解できない。








気付いたらもう部屋の外。








すれ違いぎみに武田くんが入ってくる。











「ねぇ! 何すんの、どうして?」








私を押さえているのは医者だけじゃなくて









知らない普通の人も私を押さえていた。








「嫌! やめてっ!」








「あなたの為だから、我慢して!」









……は?







何が私のためなの?








私が今望むことは、







最期に立ち会うことだよ。 







なのに。









ふと手元のスマホをスクロールする。







“指示に従ってね”






星哉は、最初からこうなることを知っていたの?








ガラスのドアが目の前で









ゆっくりとゆっくりと








閉まっていく。









「星哉! いやあーーー!」









必死でそのドアの先を目指すけど。










閉まる直前のドアの前、私は倒れた。








「嘘でしょ? ねぇっ」








何で、何で。






ガラスを、思いっきり叩く。








叩いても叩いても、頑丈すぎてびくともしない。









「明日、詳しい理由を話します」






「話さなくていい! 話さなくていいから、今すぐ星哉の所に行かせて!」






「それは、無理です」







「ふざけんな!」






「今日は帰ってください、そして今」







「嫌だ、聞きたくない!」






「ご臨終です」