+*星哉side*+
「星哉!」
ああ、死ぬ寸前にまた俺の元に戻ってきてくれた
向日葵。
まだ、夏の始まりで向日葵も咲いてないのに。
見たかったな、丘のところの向日葵畑。
口にあてがわれた人工呼吸器が重い。
体はますます俺のものじゃないように振る舞い、
口から出そうとする言葉は抜け落ちて
息をする音が薄く吐き出されるのみ。
痛くて痛くて向日葵の言葉も必死で聞いても
返事は出来なくて。
したくても、人工呼吸器を払うために
腕は動いてくれるなんて事はなくて。
「星哉! こんな私でごめん、それでも私だって星哉と過ごした時間はたまらなく愛しいよ」
俺が最後の与力で看護師を呼んで
書いてもらった言葉。
それがスマホの画面に映ってるはずだ。
向日葵の涙がその液晶画面に落ちるのが
スローモーションで見えた。
激しい痛みであとは、もう何も分からなくなった。