+*向日葵side*+
三時限目が終わり、
私は一人で、次の教室への移動の用意をしていた。
何故か、栄夏も波多野くんも、武田くんさえいない。
「おい! 萩本」
ぼんやりとそんなことを考えていたら、腕を取られて昇降口まで引っ張っていかれた。
誰か確認すると波多野くんだったから、何事か予想がつかなかった。
「え? ねぇねぇ、どうしたの?」
「星哉の所に行け、容態が悪い。というか、発作だ」
医者の言葉が頭の中で反芻された。
「優翔はさっき授業を、抜けていった。長谷川には伝えないつもりだし、星哉は最期にお前に会いたいはずだ。これだけは変わらねぇ、アイツはお前を絶対に最後の最後選ぶ」
栄夏も隣で私の手を握った。
「行ってあげて、やっと仲直りしたんでしょ? 好きって一言でいい、言ってあげて」
二人に背中を押されて。
私は昇降口のドアから身を外に投げ出した。
……間に合って!
病院へのバスが滑り込んでくる。
絶対に間に合ってみせる……!