「こっち来てください」
機械的な声で、医者が告げる言葉は
耳に入ってきにくかった。
「次の発作はもう、持たないです」
「今はどうですか?」
「静化に寝ています、一応三日間くらい面会謝絶でいいかなと……」
「私、付きっきりでもいいですか? 星哉は体が動かないわけですから危険かなと。お医者さんがずっといるわけにもいかないので……」
面会謝絶の意味を考えれば
とんでもない申し出だと思うけど
しょうがない、あの星哉のことだ。
きっと、医者のいない時に発作を起こすだろう。
少し考えた後、医者は顔をあげた。
「いいですよ。しかし、あなた以外は入れないということで」
「お願いします」
さっきの席にはもう、美結はいなかった。
星哉が、目を覚ましたら。
ちゃんと聞こう。
美結とのこと。
感情的にならないで、最後まで聞いて、
ちゃんと、私がここに戻ってこよう。
遠回りしたけど、最後の最後は
ちゃんと私がここにいられるように。