+*向日葵side*+
ポケットの中で微かに連動しているスマホ。
確認しても良かったけれど、
武田くんといたからやめた。
そんな、急ぎの用じゃないだろうし
泣きつかれて、武田君の肩に寄っ掛かっておきながら
電話をとるのは失礼に思えた。
その振動音が、メールのものだって気付くのに
少し時間がかかった……
「ごめん……申し訳ないんだけどスマホ確認してもいい?」
「大丈夫だよ」
表示画面には星哉の名前。
そのまま、閉じてしまおうと思ったけれど
先に見えた文字が引っ掛かった。
“助けて”
嫌な予感とたぶんそうだろうという揺るがない確信。
「ごめん、ちょっと戻る」
勢いだけで病院のエレベーターまで急ぐ。
何か、何かがあった。
六階までのエレベーターがとても
長く感じられた。