+*向日葵side*+





涙はまた簡単に溢れてきて







私の頬をたちまち濡らしていく。








スマホを開けて、目にした番号にすぐ電話を掛けた。











弱ったら、いつも頼っちゃってる。







彼の気持ちを逆手に取ってしまっている。









「武田、君……来て……」 








病院の外だなんて言わなくても彼は理解してくれた。









「今すぐ、行くよ」






コール音が切れた後は、寒々しい風が私を冷やしていく。








「萩本さん!」








聞こえた声はただただ私を安心させてくれた。








「武田……君」






その胸に勢いよく飛び込んだ。







得たいの知れない不安と後悔と哀しみが








私の中で疼いていたからどうしようもなく怖くて。






「もう、行かない……絶対に行かない」







「どうした?」 






「せっかく、また誤解も解けたのに今度は……」








「萩本さん、俺はどんな時でも見つけ出すよ、君を」








「それ、言われたことある」







星哉はよく泣いて消える私をいつもいつも見つけては







俺はどんな時でもお前を見つけ出すよ。 







お前、分かりやすいんだから。







探すのにめちゃくちゃ時間をかけてでも







最後には私を見つけ出してくれた。








「ありがとう、ごめんね」






私はそれからしばらくその胸の中で泣いた。







さよなら、星哉。







立派な彼女になれなくてごめんね。









こうして、私はこの恋の終わりを確信した。








まだ町には聖夜を謳った歌が流れていた。