溜め息をつく。
「今日はもう、寝ようかな……」
一人ごちて、言い訳。
昨日も今日も、そうやって体が動かなくて
どうしようもなく、寝たのだ。
これなら、体だって動かなくなる一方なのに。
……もう、いいかな。
向日葵が横にいるわけでもない。
これから、来るわけでもない。
どうせ、長谷川が来るくらい。
体も動かないし、生きてる意味なんてあんのか?
全体重を預けているベッドは、ぎしっと唸ることも
なくなった。
食べれないし、喋っている独り言さえ
聞き取りづらく、自分だから分かっているようなもの。
近いうちに出なくなるし、いいか。
そうすれば無情に時間だけが過ぎて
……楽になれる。
病室が、控えめなノックで音をたてた。
検温かな。
だいたい、優しく叩くのは女性だから
看護師だろう、そう思ったけど。
検温は、普段この時間じゃない。
小さな吐息が、ドアの向こうから聞こえた。