「「向日葵、とめないで」」
二人の声が重なった。
「美結がそんな奴だなんて思わなかった」
泣き叫ぶ栄夏の声は真っ直ぐに美結目指して進んでく。
けれど。
「私は向日葵か星哉なら、星哉なの」
分かっちゃう。
星哉の良さが分かっちゃうから、そう言われても
共感しちゃう。
でも、私は願わくば。
「私は美結も星哉も選べないよ」
選ばなきゃいけないの?
選べないほどに、二人とも好きだよ?
「そういうのってね、卑怯っていうんだよ」
いい放たれた言葉に自嘲しか出てこなかった。
……じゃあ、何を選べば良かったの?
あなたは星哉を選ぶんでしょう?
こんな美結なら。
「私だって、星哉だよ……」
「あいにく、もう私のだけどね」
「星哉はモノじゃない」
ねえ、そんな子だなんて思わなかったよ?
それとも、それが本性?
モノ扱いする人に、譲るなんて……
したくないよ。
縁を、切るしかないんだ。