「私から聞きたいのは、なんでいきなり栄夏と一緒に私を避け出したか」







……え?







だって、美結は私が来るときに敢えてあんな事を









していたんでしょ?








星哉と仕組んでなのか、それとも……







彼女の単独の行動なのかは置いといて。







「ねぇ、なんでこんなことになったの?」







路上に捨てられた子犬や子猫のごとく








紡がれる言葉は甘ったるくて気持ち悪い。






美結って、こんな子だった?








「それは、美結が一番知ってるんじゃないかな」



 




「どういうこと?」








何も知らないとでも言うように







首をかしげる彼女の目の奥。










栄夏とはまた違う哀の色が見えた。











「星哉の事好きならそう言って欲しかった」










「何で向日葵に言わなきゃいけないの? 付き合ってる人にわざわざ言うのってバカでしょ」










ああ。











なら、事実なんだね。











星哉を好きなこと。








「美結の苦しみを分かってあげられなくてごめん」






思いきり頭を下げて目をつぶる。









……隣に立っている人が自分の好きな人の彼女。












そして、その人は自分の気持ちを知らないから











簡単にその話題を出すし、のろけることもある。










「向日葵にバレないようにしてたんだから、いいんだよ別に」








「美結……」









「それに、もう星哉は私のものだから」








だから気にしなくてもいい、とでも言うように











簡単に彼女は言ってのけた。









……そう、なんだ。やっぱり。








「ああ、ならいいん……」









「よくねぇよ!」








ふにゃりと笑えば涙はすぐ落ちてきた。











走ってきた栄夏が目に映る。








よくねぇよ、って言ったのは栄夏か。








いつもはそんなに口は悪くないのに。