「後夜祭になります、校庭に皆さん移動してください」
あ、後夜祭もあるんだった。
「行こうか」
栄夏に手を引かれて私は階段を降りた。
「タイムテーブル班、昇降口に集まってください」
機械的なアナウンスがざわつく校内に響く。
「私、タイムテーブル班だ」
行ってくるね、そう言い残して栄夏は
走って行ってしまった。
私の教室班も呼ばれないかなあ。
一人はつまらない。
でも、後夜祭班くらいしか、呼ばれるわけはなくて。
教室班なんて、今日で仕事終わりだし。
もうちょっと考えて選べばよかった……
一人、か。
栄夏を待つしかないな……
美結がいたときは本当に楽しかったな。
栄夏と二人も十分楽しいけれど、
戻れるなら仲が良かった頃に戻りたい。
星哉がお互いに好きで敬遠してるんだから
そんなの、無理だけどね。
「向日葵」
今ちょうど、声が聞きたいと思った相手が私の横に立った。
「美結……」
「色々話したいことがあってさ」
その言葉に通じると信じて。
「私も、聞きたいことがたくさんあるよ」
きっと、あなたより、私の方が聞きたいことがあるよ。
だって、あれ以上に衝撃的で聞きたいことなんて
あるわけないでしょ?