「栄夏! 久しぶり!」
近くからの声に顔をあげれば、
結構ハデな女子学生が数人。
「あ、久しぶりだね」
栄夏は少しだけ目を反らして返事してる。
……栄夏らしくない。
「じゃーあ、これとこれと……」
声、大きいな……
栄夏が仲良くしそうなタイプじゃないんだけど。
「栄夏、あんた大人しくなったんね」
毒のある言葉に、栄夏の体が揺れる。
その顔は困ったようにその場をやり過ごすような笑みだった。
「あのさ、静かにしてくれない?」
どうしようとおろおろしてた私に変わり、
ずばっと言ったのは波多野君だった。
「お前ら五月蝿いんだよ、長瀬もシフト中なわけだから友達ならそこ考えろ」
「大丈夫。いいから」
その声を栄夏がかきけす。
何も中学の頃の話をしない栄夏のことが
少し分かった気がした。