「口塞がれてたんじゃねぇの? 長谷川、やりそうだしな」
「体が固まってても一応星哉は男ですよ?」
「あの病気はそんな、やわじゃねぇよ」
「そうだとしても、一週間前に私と遊びに行ったときは、前より弱いけどまだまだ力あったよ」
「俺さ、あの病気について調べてみたんだよ」
「……うん」
「十代では基本ならないし、一年以内や二年で死ぬ例も稀」
「らしいね、珍しいとは聞いた」
「早く死ぬ人は、進行がとてつもなく速いらしい、例えば、昨日は歩いてたのに次の日寝たきりになるとか」
「初耳……」
「星哉、早いんだろ? 進行。体力は相当落ちててもおかしくないぜ?」
言ってくること全てに説得力がある。
……私が願っていた通りかもしれないのに、
なぜ次から次へと私は否定してたんだろう?
……本当はきっと、怖いだけだ。
どっちにしろ、本当のことを聞くことが怖い。
……私はバカだ。
この時に、素直に病院に走れれば良かったのに
波多野君に、お礼を言って帰ることしか
私はしなかったんだ。
そして、私は
この日を後悔する。