「教室で話してたり、思い出せば何回か美結が星哉って呼んでた」
「……それだけ?」
「そんなにあるじゃん」
「長谷川の一方的な片想いっていうのが、一番考えられるけど」
「だって……キスしてたんだよ?」
「お前もう少し考えろよ、アイツは動けねぇんだぞ?」
「そうだけど」
「抵抗も、逃げることも出来ないんだぞ?」
「そうかもしれないけど……」
「そう考えてみろよ」
「でも、栄夏から聞いたんだけど病院の場所教えてたって」
「……もし長谷川と星哉が隠れて付き合ってたらなんて考えか、お前?」
「それしかないじゃん」
「……もし付き合ってんならだけど、わざわざお前や皆の前で病院教えてなんてやるか? 付き合ってんなら当に、メールでもなんでも事前に言うだろ」
「うん……」
「それに病気のことだって、お前しか知らなかったぞ?あの日まで」
「もしかしたら美結が知らない振りをしてて、私が邪魔なのを伝えるために、そういう手を使ったのかもしれないじゃん」
「そんなめんどいことするほど、俺らは大人じゃねぇよ」
「……そうなのかな。証拠もないけど」
「でも、付き合ってるという事実に繋がる証拠だってないだろ」
「ベッドに馬乗りになってたとき、美結が最後は見た目だけも私のものになって、って」
「その時、星哉は?」
「何も言ってなかった」