「ありがとう助けてくれて……でも」
「はっきり言えよ」
「もう付き合ってない」
何の事だ、そんな風に波多野君は首をかしげる。
「星哉、私と付き合ってない」
二秒か三秒の沈黙。
「はあああああ?」
そんなにおかしいか、別れるのが。
「お前ら校内一のバカップルじゃん、別れるようなことでもあったのかよ?」
まず、バカップルじゃない。
「その、別れるようなことがあった」
「何、浮気?」
勘が鋭いことで。
「まあ、そんな感じ。星哉の方がね」
「何かの間違いじゃないのか?」
「間違いであって欲しいと思ってんのはこっちだよ」
「……嫌じゃなきゃ、教えて欲しいんだけど」
大分歩いたから近くに、喫茶店があった。
「……いいよ」