「おい。何してんだよお前ら」
……お前、ら?
そっと顔をあげれば数人、人がいる。
え、本当にどうしよう……
頭の中は既に真っ白だ。
「俺の、彼女なんだけど?」
いやいやいや。
私に彼氏はいないよ?
でも、通りがかりで助けてくれようとするなんて。
いい人、だ。
「やる気か?」
腕をしならせる数人対一人。
勝ち目ないし、それに……
「お前は車で連れてけ」
私を担いで、車に運ぶ人。
いっそのこと、誰の迷惑にもならずに
さらわれた方が良かったじゃん……
「ふざけんなよ」
周りの数人が倒れていき、その“彼”は私を担いでる
男の子に近づいた。
……強い……!
「こうなりたくなかったら返せ」
黙って私はその人に渡される。
走り出したその人は
……見知った顔で。
「なんで、あんたが……」
「いつもいっつもお前らカップルは俺の世話になりすぎだ」
ー波多野、湊だった。
星哉の学校に行った最後の日に、
さりげなく助けてくれた、クラス一、イケメンの
波多野湊。