私が走れば相手も走る。






このまま、家に行ったら家が分かられちゃう。     








……それは、無理だよ……









慌てて方向を変えようと思っても、他の道がないし










……それより、ここ行き止まり……?









焦りで手に汗、目には涙。











怖い、怖い、なのに声は出ない。












後ろで止まった足音に震えは止まらない。










どこかに連れていかれる?










何される?







口に押し当てられた手で、現実に引き戻される。









ああ、死ぬかもな。









他人事のように、心の中で呟く。








この時間にこんな場所、








助けてくれる人なんているわけないし。






抱え込まれる体に、恐怖は大きくなっていくけど。






どうしようも出来ない。







涙が滲んだ。