+*向日葵side*+



「向日葵」





名前をさっきから何回も呼ぶ君。


  


「なんか恥ずかしい」





野原の中で、いるのはこの二人だけ。





優翔の名前を呼ぼうとする度に、胸に痛みが走る。






星哉が好きだ。
  





好きなんだ。






自分に嘘は、私もつけない。






「優翔」   




「どうしたの?」



「私、星哉が好きなんだ。変わらない





「そんなの当たり前だよ、ゆっくり、時間をかけて好きになってくれればいいし、あいつが良い奴なのは俺も知ってる」



大きすぎる懐と優しさにまた涙が出てくる。






いつから、その優しさを持ち合わせてたの?

 


「ねぇ、そんなんで優翔はいいの?」

 


「いいよ。向日葵の笑顔を横で見られるだけで」






なんでこんなに優しいんだろう。 






私の態度はひどかったのに。






涙がまた流れた。



「いつか、目を見て好きって言うから」




絞り出した言葉にこめた真意は君には、分からないと思う。




「待ってる」




ただ、それだけが返ってきた。





からだの中を冷たいものが走っていく。