普段の長谷川との違いに、ただ呆然としてしまう。
「好きよ」
そんな言葉、お前から聞きたくない。
向日葵から聞くだけでいい。
あと、一年なのに。
引き剥がすようなことしないでくれ。
やっと、やっと上手くいきかけたのに。
なんで、いつもいつも邪魔が入るんだ。
「私は私のやりたいようにするから」
ドアを開けて優雅に出ていく彼女を睨む。
最後の最後で、ひっくり返さないでくれ。
俺は頭を抱えた。
見えるのは白い天井だけ。
向日葵の笑顔はない。
泣いていないだろうか。
泣いているだろう。
どこかへ行ったんじゃないか。
行っただろう。
頭を抱えるのにも力がすごく消費される
そんな体、使い物にならない。
肩の方が、固まる感じがした。
神様、どうにかしてよ。
最後の神頼みで俺は心の中で手を合わせた。