手を引かれながらも、さっき見た景色が
頭の中をぐるぐると回っていた。
美結、星哉。
私、邪魔だったの?
今でも、少しだけ勘違いなんじゃないかという考えが頭を掠める。
そんな、ハッピーエンドがほしくて……。
でも、きっとそんなことはない。
もし、星哉が美結を好きだったとしたら、
私の前で上手く演じてたとしか言えない。
それでも、教室で話してたのは
そんな焦燥が溢れたっていえる。
手を掴んで先を走る広い背中。
私は、これでよかったの?
……いや、これが多分当たり前なんだ。
今までが、輝いてただけだ。
これが、なるべき方向で私の恋は始まったんだ。
あの二人が結ばれるのが妥当……
……こうやって、思ってもないことを
吐き出して、本当のことに誤魔化しちゃえば……
いいの?
前で走る背中もさらさらの髪も、力強い手も。
ダメだ、武田くんとして見れない。